Archive for the ‘子育てコラム’ Category

11
3月

ひとりでトイレ

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進級、入園などのこの時期、「みんなと一緒にやって行けるように」という気持ちから「一人でやってごらん」「一人でできるよね」とお子さんに言葉をかけることが増えると思います。

その場面の一つがトイレ

集団生活を考えて一人で行ってらっしゃい!と促して、早い自立を目指して毎日頑張っている親御さんもたくさんいらっしゃることと思います。

 

でもなかなか自立に至らないんですよね。

トイレ動作の習慣化、自立は本当に難しい育ちのステップの一つです。

失敗が続いているな、なかなかうまくいかないなと停滞感を感じたり、トイレとなると親子でケンカになるとウンザリ気味になってきたら少し方法転換をしてみるとトイレトレーニングのトンネルを抜けるときのきっかけになるかもしれません。

 

まずは・・・

「一人でいってらっしゃい」よりは「一緒に行こうね」という働きかけの方がスムーズな場合が多いです。

トイレに一緒に行くことは甘やかすことではありません。

できることは任せる、できないところだけを必要に応じてお手伝いすると言った大人の関わりは甘やかしではなく共同で行う動作なので育ちを促進することにもつながります。

その際もいつも大人が全ての動作をやってあげるのではなく、トイレ動作やあとしまつ、衣服の整え方、手洗い、遊びなどへの戻りまで言葉を添えながら大人が快くお手伝いしてあげることがポイントです。

しぶしぶするお手伝いは子どもが学ぶチャンスを阻害してしまいます。

大人が快く手伝ってくれるからこそ、真似してみよう、やってみようという気持ちが育ち、真似ることから学ぶことにつながるのです。

 

乳児でもだんだんと一連の流れや動作方法に慣れてくると自然と覚えてくるので、自分でできそうなところに参加するようになってきます。

赤ちゃん時代のおむつ替えで新しいおむつをお尻の下に差し込んだら腰を上げようとする・・・こうしたこともトイレトレーニングの第一歩だったわけです。こんな小さい時からりっぱな自立の姿が表れているんです!

 

幼児期になってからのトイレトレーニングでも大人が面倒くさがらない、トイレ前後の流れや方法を統一する、子どもの状態に応じてお手伝いを少しずつ減らすというポイントは続けていきましょう。

子どもだけ一人でトイレに行かせる時期を早めすぎると正しく習慣化されないうちに適当に済ませてしまうことが固定されてしまうかもしれません。

誤った習慣を後から修正するのはとても時間がかかり、ストレスいっぱいになるので、ちょっと手がかかりますが、「急がば回れ~」の心意気でしばらくお付き合いしましょう。

 

 

子どもの心境としてはなんとなくトイレに入ってきて、それなりにトイレ動作を済ませてきて、「やれやれこれでまた遊びに戻れた!」とほっとしたところで「手を洗ってきたの?」「ちゃんと流してきた?」「お尻はキレイにふけてるの?」とあとからあれこれ言われるのはげんなりするものです。

ある日、保育現場で幼児のお子さんが「そんなに注文つけるならその時に教えてよ~」としょんぼり顔で訴えてきたことがあり、「子どもの気持ちを想像したトイレ動作のお手伝い」の必要性を痛感したことがあります。

頑張って帰ってきたところで「やりなおし~」や「こんなにトイレを汚して何してきたの!」なんてお小言満載になるのはうっとうしいものですよね。

 

しかもやり直しモードのときはしぶしぶですし、親子のモメごとは発生しがち。うまくいくものもケンカの種になりかねないので、完璧にOKとなるまでは直接のお手伝い段階から言葉かけ、見守り程度のサポートまでを含めて一緒にトイレに足を運ぶ方がトイレ習慣の自立にしっかりつながります!

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療育を受けているお子さんの中には大便の自立が特にゆっくりになる傾向があります。

よくある理由としては

・便秘気味

・筋力がまだ弱くてふんばるのが大変

・お尻を拭くのが難しい、またはわからない

これらは、長い道のりではありますが、食事習慣や水分補給量、遊びなどを通した体力つくり、トイレ動作の発達促進など育ちの発達の一環として見ていくことが大切です。

 

それからちょっと複雑な理由として・・・

・快・不快の感覚、ニオイの感覚が少し鈍い

・大人が「うんち」を汚いものと言うことから嫌悪している

なんていうことが大便の自立を送らせていることもあります。

 

療育を受けているお子さんは、主なハンディ以外にも育ちにくいところやゆっくり獲得していくスキル、バランスが良くない感覚などを併せ持っている傾向があります。

赤ちゃん時代からのおむつ替え、トイレ誘導、お風呂や着替え動作などを通して「汚れている」「キレイにする」「キレイになって気持ちいい」といった快・不快の感覚をしっかり身につけていきましょう。

大便の自立の大まかな年齢は視野に入れながらも、あまり焦らずに時間をかけても大丈夫です。

 

それから大便について大人が嫌悪感を強く出した表現をしていると子どもも「うんちをすること」がとてもイヤなこと、嫌いなこととして極端に避ける、身に付きにくいといったケースも時折あります。

大便が出ていることを知らせる時の「くさい、くさい」やおむつを替える時の促しの「ばっちいからキレイ、キレイしようね」といったおだやかな働き掛けは別として、大人の側の「汚いから困る」といった気持ちからでるやや重くるしい「汚い」といった表現を多くするのは、控えていけると良いかもしれませんね。

 

大変なこと、面倒なことは育ちのプロセスにはいくつもありますが、大人の適切な関わりと温かい手助けがあれば、一つ一つ階段を登り、しっかり超えていくことができます。

大きくなっていく過程においてお手伝いの内容や方法、働きかけや言葉がけを柔軟に変えたり、高めていったりしながらお子さんの育ちを見守り、支えていきましょうね。

★なないろ会員の皆さんは「ぽかぽか通信」に「トイレトレーニング」についてのおたよりがアップされていますので、合わせてごらんください♪

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14
8月

お絵かきにおけるハイハイ

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tousokujin1             『頭足人』の時期を豊かに、大切に        tousokujin4

この絵は保育用語で『頭足人(とうそくじん)』と言います。体を描かずに“頭(顔)”から直接手足がニョキッと出ているので、そのように呼ばれています。

子どもの絵(描画)の育ち・発達の歩みの中に見られるもので、だいたい2.3歳~4.5歳の間に現れ、人間以外でも動物を表現するときにも見られたりします。

絵の“丸い部分”は「顔や頭であるという」説と「体を含めた人間(動物)の全体を象徴している」という説があります。

 

『頭足人』を描くことは、赤ちゃん時代からの運動面の発達にたとえてみると、ちょうど『ハイハイをしていること』にあたります。

ハイハイをたくさん、十分にした赤ちゃんは、体の筋力がバランスよくつき、体の動きや身のこなしが滑らかになり、後々歩くようになったときに大いに役立ちます。

 

同じように『頭足人』の時期を、大人のあたたかい見守りの中でゆったり、たっぷりと過ごした子どもは、絵を描くことをじっくりと楽しめるようになり、絵を描くことが好きになっていきます。これは、『人に何かを伝える』『自分の中にあることを表現する』ための土台をしっかりと育むことにつながります。絵を描いて遊ぶ活動のエネルギーや意欲を蓄えるだけではなく、人に表現し、人とコミュニケーションを取るための基礎を作っていることになるのです。

 

この『頭足人』の絵になる少し前には、〇のようなものをあちこちに描いたり、グルグルとうずまきのようなものを繰り返し描いたりする時期もあります。手足が出てくる前の頭足人のような絵に見えます。お絵かきにおける”ハイハイ”の前の”ほふく前進”のようなものかもしれませんね。

この”ほふく前進”も”ハイハイ”も大きな成長として嬉しいもので、とてもかわいらしい姿です。

tousokujin3       ~『頭足人』は直した方がいいの?~          tousokujin2

 

『頭足人』の絵を見て「体がない人間の絵はおかしい(正しくない)から、描き方を教えた方がいいのか」と悩まれる親御さんがいらっしゃいます。

「子どもが正しい人の絵を覚えられるようになるために、大人の絵のお手本を無理やり与えたり、真似させたり、自分の絵を直させたりした方がいいのか」とご心配なさる親御さんもいらっしゃいます。

親御さんのこうした熱心さはとても尊いものですが、早すぎる熱心さは時としてお子さんの年齢や育ちの段階に沿わなくて、子どもは嫌がったり、絵を描くことをやめてしまったりすることがあります。

 

「自分の心の中にあるもの、自分の好きなことをお絵かきして表現すると、直させられてしまう」という経験は、自分のすることに自信をなくし、絵を描くこと自体が苦痛になったり、嫌いになったりしてしまうことにつながってしまうかもしれません。

そうするとお絵かきの”ハイハイ”を思い切り練習する場をなくしてしまうことになってしまいます。

 

ハイハイをたくさん練習する必要がある時期に先取りしすぎて「立つ」「歩く」をさせようとしてもなかなかうまくいきませんよね。頭足人』も同じです。頭足人』は“立ったり、歩いたりする前のハイハイ”です。体も手足もある絵を描くようになる前の大事な時期です。

 

「うまい、へた」「ただしい、おかしい」という物差しではなく、子どもは自分の心の中にあるものを豊かに外に出せているか、大人はそれを受け止め、同じ気持ちでわかり合えるか、お絵かきを通してやりとりやコミュニケーションを楽しめているか・・・そうしたことに目を向け、大切にしていきたいですね。

 

ゆったり、じっくり楽しく絵を描いたり、大人が描くいろいろな絵を楽しみながら目にしたりする経験を積み重ねていくと、子どもは自然と自分から体や首、そこから伸びる手足も描くようになっていきます。

 

「たくさん描いて、えらいね」「大きく描けて、すごいね」「違う色もきれいだね」「今日は何を描いたのかな」「今日はどんな気持ちなのかな」「体や手足がついた絵を描くようになるのはいつかな」など楽しみながら子どもの育ちを見守っていきたいですね。

 

 

~夏の『頭足人』~

同じ〇やグルグル描きでも、似たような頭足人でも、その時の経験や気持ちによって選んで使う色、絵の大きさ、線の強さがなど異なっていることもあります。

好きな色が変わったり、増えたり、絵の大きさや線の勢いに変化が出てきたり、生きている絵は少しずつ変化、進化していきます。

 

クレヨンを持ち始めたばかりの時期や、何かを描き始めてすぐのころは、「腕を動かす運動」のような色合いが強いですが、そのうちに「気持ちの表現」「経験の再現」のようなお絵かき遊びに段階が進みます。

 

定番のグルグル描きでも、もしかしたらソフトクリーム、空の雲、打ち上げ花火・・・夏の経験のいろいろを表現しているかもしれません。

いつもの『頭足人』もお盆に会った祖父母や親せき、駅やサービスエリアでの人込み、夏の定番オバケ、映画で観たヒーロー、もちろん夏を元気に過ごす自分・・・夏の思い出をあれこれ伝えているかもしれません。

 

子どものグルグルや『頭足人』の絵を「こんなことしたね」「あんなことあったね」「あそこに行ったね」「たのしかったね」「おいしかったね」「また会いたいね」など、一緒に経験できた夏の一コマを伝え合える一つのきっかけにしてみてください。

 

    kureyon       ~子どものにとっての”絵”とは~           kureyon

子どもにとって“絵”は言葉と同じです。

 

嬉しい気持ち、悲しい気持ち、楽しかったこと、がんばったこと、怖かったこと、悔しかったこと、お気に入りの物、おいしかったごはん、大好きな人たち・・・言葉ではうまく言えないけれど、子どもにもちゃんと心の中に抱えていること、頭の中に浮かんでくることはたくさんあります。

 

そうしたものを小さいうちはまだまだ言葉はつたなく、大人のようにはうまく表現できないので、線や絵の力を借りて表現しているのです。今使える色で、今描ける線や絵で精一杯伝えているのです。子どもは”絵”でお話ししているのです。

 

大きくなって行く途中には、同じ色しか使わない時期、グルグルうずまきばかり描く時期、怒ったように力を入れて紙を塗りつぶす時期など絵の段階は様々です。大人としては「同じものばかり描いていて、このままでいいのかしら?」と心配になってしまうかもしれませんが、子どものその時を受け止め、ありのままを受け入れ、子どもの表現に耳を傾けて、くみ取っていくこと大切です。そして、それを続けていくことで絵は年齢や段階に応じて変化、成長していきます。

 

まずは子どものお絵かき遊びに興味を持ち、何を描いているのか一つ一つ知っていきましょう。そうした絵を通しての話かけや、やりとり、おしゃべりを広げ、わかりあっていくという経験の積み重ねをしていってください。

夏の出来事を語っているグルグルうずまきや『頭足人』がいっぱいとびはねている絵には、きっと豊かな思い出がつまっているはずです。

 

夏休み後半です。それぞれのご家庭で、色鮮やかで豊かな夏の思い出を作ってくださいね。

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26
12月

「子育ち支援」という関わり

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子どもには「自ら育つ力」があります。「自ら育つ力」をつけていきます。そうした「自ら育つ=子育ちを支え、応援していくという考え方を「子育ち支援」と言います(諸説あります)。

「子育て支援」と似ていますが、「子育て支援」は子どもを育てる大人が主語で、「子育ち支援」は育っている子ども自身が主語です。「ぼくが・わたしが 育つ」という感じです。

この「子育ち支援」の視点に立ってお子さんを支えながらかかわったり、育ちの道すじを見守っていくことが子育てのある時点からクローズアップされてきます。

 

生活のお世話をほとんどしてもらっていた赤ちゃん時代から「できる部分は赤ちゃんに協力してもらう」という育児行為と気持ちはとても大切です。
たとえば、おむつ替えでズボンをはかせる時にちょっぴり赤ちゃんに腰を上げてもらう、哺乳瓶でミルクを飲むときに赤ちゃんの手を哺乳瓶に添えてもらう、離乳食前に手をきれいに拭くときにお手ふきを赤ちゃんの前に差し出して赤ちゃん自身にお手ふきに手を乗せてもらう・・・どれもこれもほんの少しのことですが、全部大人がやってしまうのではなくできる部分を赤ちゃんにやってもらうように促しています。これらもりっぱな「子育ち支援」になっています。

 

もう少し大きくなってくると「子育ち支援」のイメージをしやすくなってきます。トイレトレーニングをしているお子さんがその動作をしやすくするように、おまるやトイレまでの環境を整えたり、一人での脱ぎ着がしやすい洋服に変えて行ったりするのも「子育ち支援」です。
一人でパンツやズボンの上げ下ろしをがんばって練習しているお子さんにいつまでもロンパースタイプの下着を着せていたら、がんばって育ちの階段を上ろうとしているお子さんの支えや応援にはならず、もしかしたら妨げになってしまうかもしれません。

一人でもくもくと遊びに熱中していた時期から、同年代のお友だちに関心を持つようになってくると「子育ち支援」の視点がさらに広がります。 「人とのかかわり方」「自分の気持ちや考えの伝え方」「相手の気持ちや考えの受け取り方」など子ども自身が育っていく内容が深くなってくるからです。

 

友だちを関わるようになってくると当然いろいろなトラブルが発生します。同じおもちゃが使いたくて取り合いになったり、もしかしたらそのおもちゃがどうしても欲しくてお友だちをどーんと押してしまうなんてこともあるかもしれません。「かして」「いいよ」「だめよ」など「言葉で伝えること」を大人は教えていきますが、なにせ必死な子どもたち。そして人とかかわることを学び始めたばかりの子どもたち。いいタイミングで、ベストな言葉を瞬時に使ってやりとりできるなんて、本当に難しいことです。

お友だちを泣かしてしまったり、逆にお友だちに泣かされてしまったり、うまく遊べなくてお母さんに怒られたり・・・うまくいかなかったり、苦い思いをしたりしながら子どもは「自ら育つ」のです。そして「人とのかかわり方を自ら学び、身につける」のです。

もしもこの過程で大人が「子育ち」をせき止めてしまったら、「子育ち」のチャンスを一つ失ってしまうことになるかもしれません。
「お友だちとケンカしないように」「お友だちを泣かさないように」という大人の側の思いが強いがために、友だちとかかわる場面を避けてしまったら、育ちにつながる苦い経験も、貴重な場面にも出合えなくなってしまいます。

「おもちゃの取り合いにならないように」という大人の側の願いが前面に出てしまったがために、あふれるほどのおもちゃを常に用意してしまったら、譲ることも、譲ってもらうことも、順番に使うことも、待つことも、一緒に遊べた時の嬉しさも学ぶチャンスがなく「子育ち」あぐねてしまうかもしれません。

 

幼稚園や保育園などの集団生活に入ると言葉を使いながらの「子育ち」の場面がぐっと多くなります。だからこそ大人は「子育て」において「言葉だけ」を増やそうという思いが強くなってしまいがちです。でも、人とのかかわりにおいて「増えた言葉」がすべてではありません。「考えて、心を込めて使える言葉」がとても大切なのです。

言葉を学び、増やしている過程の子どもたちは、往々にしてうまく言葉を引き出して言えなかったり、間違えて言葉を使ったりすることがあります。でもその過程が何よりも大切なのです。
「なんて言ったらいいかな」と頭の中にある言葉を思い起こしたり、「こんなとき、ママやパパはなんて言ってたかな」といつもの温かいやりとりをイメージしたり、自分の言いたいことをくみ取って、代わりに言ってくれたお友だちの話し方を手本にしてみたり・・・このように「考えた言葉」は必ず身に付きます。そして「考えた言葉」を一生懸命に「心を込めて使う」ことでその子らしい本当の言葉に育っていきます。こうした言葉ややり取りを学ぶ道のりも「子育ち」です。

もちろん、「こういうふうに言うといいよ」といったヒントや導きは大切ですし、「子育ち支援」です。でも、ちょっとそれをしすぎて、答えを示しすぎてしまうと「押しつけ」になってしまう・・・難しいところですが「考えて、心を込めて使う言葉」を育てていくときに「押しつけ」は効果が出にくく、もしかしたら子どもの気持ちをカチンコチンに固まらせてしまうかもしれません。

「この子がもっとお話しできるように」「この子がもっとお友だちや先生とりっぱにお話しできるように」・・・という親心がある熱心な親御さんは、ちょっぴり一息ついて「子育ち観察」を楽しんでいただけたら・・・と思っています。

「考えて、心を込めて使う言葉」を学んでいる途中のお子さんは、本当に豊かで、愛らしくて、素晴らしい表現をたくさんしています。ちょっぴりおかしな表現もありますが、考えている証拠です。

こんなことがありました。
ままごと遊びをしていて、家族みんなに分けてあげるだけのドーナツがなかった時の子どもたちの会話です。
この時のままごとは「何か足りない」がテーマだったようです。

 

ママ役:あら、困ったわ。ドーナツが3個しかないわ。おとうさん、おかあさん、子どもたちの5人いるのに。あらあら。

パパ役:なになに。ひい、ふう、みい。ほんとだ。「みいこ(3個)」しかない。
(このころ、数の数え方で、「ひい、ふう、みい」がはやっていた)

子ども①:えー。「みいこ(3個)」しかないの!?

子ども②:ほんと?「みいこ」じゃ困るよー・

子ども③:「みいこ」しかないんだったら、子どもは「みいにん(3人)」だから、子どもだけで食べちゃおうよ。

ママ役:そうね。子どもは「みいにん」だからドーナツ「みいこ」は子どもで食べなさいね。

子どもら:でも、パパもドーナツ好きでしょ。かわいそう。

パパ役:パパはいいよ。これがあるから。(ビールのつもりのカップを持ち上げる)

ママ役:まったく、パパったら・・・

ままごとはまだまだ続きました。

 

このままごとの一コマでも言葉のおかしな使い方が満載で、「みいこ(3個)」「みいにん(3人)」と話している子どもたちの会話にふき出したものです。
ここで「みいこじゃないでしょ、さんこでしょ」なんて訂正して回ったら、ままごとの家族団らんがぶち壊しです。言葉の誤りを訂正するチャンスをこの後にしっかりと見通したうえで、保育者は子どもたちのままごと遊びを見守っているのです。そして子どもたち同士でちゃんと正しい言い回しを伝え合っていけるように外から促し、支えていく・・・これも「子育ち支援」だと感じたエピソードの一つです。

子どもは大好きなお母さん、お父さん、身近な大人、安心してかかわれる仲間の温かい言葉のシャワーを浴びて、しっかりと「子育ち」しています。そして、子ども同士が「子育ち合っている」のです。

少しエネルギーのいることですが、「子育ちの力」をもっともっと信じて、「子育ち支援」を楽しんでみてくださいね。

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13
11月

寒さも風邪もふっとばせ②

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~冬の間にやってみよう編~

                

◆心強い小児科のかかりつけ医をみつける!

すでにかかりつけの小児科医のいる方もいらっしゃると思いますが、最近は小児科の医院が減っていることもあり、小児科探しをしている真っ最中の方も少なくないようです。

お母さんからの免疫が切れてくる生後6か月過ぎくらいから、赤ちゃんは鼻水ぐじゅぐじゅ、お熱も出やすくなったり、なんだかしょっちゅう風邪気味で・・・なんていうことが多くなってくるかもしれません。

予防接種のスケジュールも立てながら、赤ちゃんの全身の健康について相談したり、診てくれたりするかかりつけの小児科医がいれば心強いですよね。

加えて、看護師さんや受付の方もやさしかったり、頼もしかったりすれば、お子さんの具合が悪いときの不安が少しは軽くなるかもしれません。

小児科医で出会う他のママさんが心の友になったり、近所の情報交換ができて、地域でどっしり生活の根を生やしていくときのエネルギーになったり・・・嬉しいこともありそうです。

お子さんの具合が悪くなった時ではなく、元気でいろいろとで歩けるときに「いざという時の小児科医探し」をしておくと良いでしょう。

 

☆小児科医などの情報がないわ・・・と言う場合

地域の保健センターや子育て支援センターに問い合わせるとアドバイスをもらえることもあります。出産した産婦人科に聞いてみるのも良いかもしれませんね。

 

☆心強い小児科医探しに加えて「予防接種計画」も相談してみましょう。

風邪やインフルエンザに気を付けながらのお話が聞けて参考になると思います。

 

◆冬の行事を楽しむ!

冬はわくわくするイベントや日本らしい行事が目白押しです。クリスマス、お正月、節分、桃の節句・・・これらにお子さん本人やご家族のお誕生日があったら、ワクワク続きですね。

冬は室内でじっくり、ゆったり過ごすことがしやすいので、季節の節目や文化を感じられる行事をじっくり知り、ゆったり楽しむことにぴったりかもしれません。

お子さんの年齢が小さいと、クリスマスのケーキもお正月のおせち料理も食べることはできないかもしれません。それでもなんとなくお買い物先で目にしたり、家族がおいしそうに食べているのを見たりすることがとても大切ですし、しっかりと行事やイベントを経験することになります。

街でサンタさんを見ることも、おめかしした家族と新年のお参りに行くことも、節分や桃の節句の歌を耳にすることもすべて次の年につながります。

「なんとなく見たことがあるな」いう感覚を積み重ねてあげやすい『冬の行事』を小さいお子さんと一緒に楽しみましょうね。

 

※お子さんの年齢が小さいとまだまだ分からないことが多いかもしれませんが『冬の行事』は大人が楽しく雰囲気を作ったり、セッティングしたりして、それをお子さんにお話ししてあげやすいです。ケーキ、プレゼント、それらしい衣装、お年玉、挨拶、特徴的な飾り(おにのお面や雛飾りなど)や食べるものなど印象に残りやすい品物も多いです。さらに、毎年同じようなことの繰り返し(伝統的)なので、毎年の積み重ねがとてもよく目に見えます。

「来年はもっと一緒にできるかな~」を楽しみに、今年の『冬の行事』を楽しんでくださいね。見る、聴く、食べるなどを通して「なんとなく感じる」「なんとなく経験する」が来年の実になります。一年後が楽しみ!!

              

◆お出かけ場所の開拓~冬の外出でお出かけ達人に!

北風ぴーぷー、木枯らしびゅーびゅー・・・なんていう寒い冬の日は、小さいお子さんとのお出かけを控えたくなりますよね。

特に冬は咳をしている人も多いので、風邪やインフルエンザをもらってしまわないか、と心配になります。

もちろん極端な人込みや、ひどい悪天候の時は外出せずにおうちでじっくり遊ぶ方が安心ですが、散歩など屋外への外出を経験して、自分で体感温度を調節できるように鍛えていくので、お子さんの様子に応じて適切な外出をしていけると良いですね。

晴れている日の午後の早い時間帯が気温が上がっているので外出しやすいかもしれませんが、天気や時間帯と共に“寒い日でもお出かけしたくなるようなところ” “お出かけしやすいところ”をみつけてみましょう。

例えば・・・ちょっと朝は早いけれどスーパーの朝市。お買い得品がずらりと並んでいるので、お母さんが意欲満々!お母さんの意欲がお子さんのやる気を引きだして、少々寒くても元気に仲良くお出かけできるかもしれません。

それから、図書館や児童館などの公共施設。おむつ替えや授乳スペースが整っていて、安心です。スーパーもそうですが、目的の建物までの屋外散歩をふんばれば、あとは屋内ですので、寒さをしのいで過ごせますよね。お出かけする経験を積むことで「本当に必要なグッズ」「本当に役立つグッズ」を選ぶことにもつながり、親子で『外出の達人』になります。荷物を減っていくことでお子さんの成長の実感にもなりますね。

 

あと、いつも行っている公園をあらためて見まわしてみましょう。冬の陽だまり、風よけになるエリアなどを見つけられれば、冬でも公園遊びを楽しめます。日陰を探していた夏から陽だまりを探すようになる冬へ・・・季節は移り変わり、お子さんもきっとたくましくなっているはずです。お子さんが遊びやすくて、動きやすい「防寒スタイル」もみつかるでしょう。(厚手の上着の重ね着より、下着の重ね着の方がもこもこせず、遊びやすい。そして体温でぽかぽかの層ができやすく、あったかい!)

 

本格的な冬を迎える前に、いざというときの小児科医探し』『冬の行事を楽しむ準備』『冬のお出かけ練習』を今から始めてみませんか。きっと、今年の冬は元気に楽しくぽかぽかに過ごせることでしょう。

12
11月

寒さも風邪もふっとばせ①

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~「部屋の室温・湿度」「衣服」「布団」編~

                     

ずいぶんと朝晩の寒さがみにしみるようになってきました。天気予報とにらめっこして、最低気温や最低気温のチェック。「今日は何を着ようかしら(ママ自身)」「何を着せたらいいかしら(お子さんに)」と迷うことが多くなってきますよね。  小さいお子さんは暑がりなのか、寒がりなのか・・・難しいですよね。子どもは風の子というけれど、うちの〇〇ちゃんは、大丈夫なのかしら「こんなに寒い日はお部屋の温度を何度くらいにしたらいいのかしら」と健康管理と主に環境の整備にも気を使うところです。

 

小さいお子さんは「暑い寒い調子悪い」といったことをその時に訴えることがまだまだ上手ではありません。    顔が赤くなったり、顔色が悪くなったり、汗ばんできたり、元気がなくなったり、おこりっぽくなったり・・・こうした体中で訴えてくることが多いようです。  これから冬を迎えるにあたって、小さいお子さんが元気に楽しく過ごしていけるようなポイントをいくつかあげてみます。 すべてのポイントがどのお子さんにも当てはまるということではありませんが、うちの〇〇ちゃんはどうかな?」とあらためてまなざしを向けることでそれぞれのお子さんにぴったりの「冬対策」が見つかることと思います。

 

◆部屋の温度・湿度

よく言われることは

「生まれて2か月頃までの赤ちゃんは20℃から24℃くらいで少し高めに」

「3か月以降の赤ちゃんは18℃から22℃くらいで」

というのがちょうどよいようです。そうは言っても、いつもエアコンの温度設定とにらめっこになってしまうと大人が疲れてしまうので「大人が寒くない」というのをめやすにして大丈夫です。

 

お子さんのほっぺが赤くなっていたり、汗ばんでいたり、なんだか機嫌が悪くなったりしていたら、温度調整を見直してみると良いです。   暑すぎると、汗をかいて、それが冷えて風邪をひいたり、体温がこもって機嫌が悪くなったり、寝られなくて夜泣きにつながったり・・・ということもあります。 温度調整、衣服の調整などでお子さんが上手に汗をかいたり、体温の循環ができるように整えてあげましょう。  また、部屋の中は場所によって温度に差があります。エアコンのファンの向きによって、足元と天井付近とで温かさが変わってきます。もしかしたら、ドアなどのすきま風で、お子さんが寝ているところがちょうど寒かったりするかもしれません。お子さんは大人よりも低い位置で生活しているので、「お子さん目線」で暑さ・寒さを感じて、環境を整えていけるといいですね。    加えて、「喚起」と「湿度」もとても大切です。温かくしようとしてドアを閉め切りにしていくと、空気はどんよりとしてきます。一日に数回は喚起をして、新鮮な空気と入れ替えるようにしましょう。目には見えませんが、どんよりとした空気にはばい菌やウィルスなどが・・・。定期的な喚起が風邪の予防にもつながりますし、外の気持ちよい空気、寒さをしっかりと感じることで、季節を味わうことにもつながります。

 

湿度ですが、室内が乾燥しすぎないように50%~60%ほどがちょうどよいと言われています。加湿器などの利用したり、濡らしてしぼったタオルや洗濯物を室内の高い位置に干したりすることで乾燥を防ぐことができます。 夜はエアコンをつけている室内に洗濯物干すことで、寝ている間の呼吸を助け、さらに乾きも良いなんていうお得感もあります。

 

◆衣服

生まれて2か月くらいまでの赤ちゃんには「大人よりも一枚多めに」、

それ以降のお子さんには「大人と同じか、一枚少なく」着せるのがめやす と言われています。

 

着せる枚数にも配慮しながら、下着」を上手に着ていくこともとても大切です。   「寒くないように・・・」と厚手の上着類を重ねてきていくと、ゴワゴワ、もこもこしすぎて腕とわきの下に距離ができてしまい、遊びや運動がしにくくなってしまいます。一方で下着は保温性や吸湿性に優れていて、薄手でもあるので重ね着をしても活発に動くお子さんの動きを妨げることがありません。また、薄手の下着を重ね着すると服と服の間に体温で温まった空気の層ができ、厚手のものを1枚着るよりも保温性が高まります。動きやすくて、あたたかい「下着の重ね着」も有効な冬対策ですね。

 

◆布団

寒い冬は厚めの布団や毛布を重ねることが多いと思います。「昼間よりも一枚多くかける」というおうちが多いようですが、布団の素材や重さにもよりますので、やはりお子さんの体からの訴えをしっかりと受け止めて調整することが大切です。  小さいお子さんは布団を何枚も重ねた「布団のミルフィーユ」の中で、上手に寝返りをしたり、熱を逃がしたりするのがあまり得意ではありません。   布団の重たさに負けてしまって、熱がこもりやすくなり、汗をたくさん書いたり、寝入ろうとしても体がカッカして熟睡できなかったりすることもあります。 心地よい眠りに誘うために

 

布団に入る前に温めておく

②寝付いてから体温チェックで布団を調整する   ということが役立ちます。

 

①は湯たんぽや布団乾燥機、お湯を入れたペットボトルなど(いずれも火傷がないようにタオルなどを巻いたり、お子さんがお布団に入るときには必ず出すなどしましょう。低温やけどを防げます。)を布団の中に入れておくだけで、ぽかぽか布団になります。「ぽかぽか」は心地よい眠りに導いてくれるはずです。

 

②は、お子さんの背中にそっと手を入れて、汗をかいているかチェックしましょう。汗ばんでいたり、むっとしたりするような感じがしたら布団を薄くして、体温がこもらないようにします。お子さんによりますが、手足は比較的ひんやりしていても背中やお腹がぽかぽかと温かければ、「寒くない」というめやすです。  いかがですか。普段の生活に少し気を配ることでお子さんも、ご家族も元気にぽかぽかになれそうですよね。

「室温・湿度」「衣服」「布団」にちょっぴりの工夫をして、寒さも風邪もふっとばしながら楽しい冬をお迎えください。

16
8月

「家族ごっこ」から考える

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子どもたちにとって「家族ごっこは」人気のある遊びの一つです。年齢や経験など成長に応じて、ごっこ遊び」は発展します。ままごとコーナーや砂場など限られた場所でなんとなく子どもたちそれぞれが「ケーキ屋さん」「〇〇レンジャー」など限られた「ごっこ遊び」からぐーんと広がって、園のあちこちで、一日を通してずっとごっこ遊びを広げ、深め、展開していけるようになるものです。

 

さっきまで「家族ごっこ」で「三姉妹の長女」だった女の子が飼育係活動の時間になると「ちょっとタイム!!私しばらく普通のA子に戻るから、ちょっと抜けるねー。」なんていうことはしょっちゅうです。

 

家族ごっこなどのなかで繰り広げられる子どもたちのことばや行動から、社会や家族の在り方、人とのかかわり方など人として大切なことを考えさせられることもしばしばです。

そして子どもたちの様子から幸せな家族の様子、多岐にわたる家族の一員としての役割が垣間見られます。

 

◆子どもたちの会話から・・・

 

☆「あなたー。朝ご飯はトーストでいいかしらー。」 (ママ役がパパに話しかける。パパ役はネクタイを締めているふり。)

 

☆「ごめーん。先に仕事にいくね。保育園よろしく―。お着替え持って行ってね。」 (先に仕事に出かけるママ役がパパに。もちろんパパはOKサインで「いってらっしゃーい」)

 

☆「今日はパパが飲み会でいないから、おばあちゃんちに遊びに行こうか!!また、みんなでサーティーワン行く?」(ママ役が子ども役に内緒話をするように楽しそうに)

 

☆「給料日前だから、節約よ。」(ママ役がスーパーに行って思案顔で)

 

☆「二日酔いだー。朝はコーヒーだけで・・・」 (パパ役がよろよろと)

 

☆「今日はママがお出かけだから、内緒でマックでお昼にしよう!!」(パパ役が子ども役にニヤニヤしながら)

 

☆「よしよし、パパがおむつを替えまちゅよー。」 (パパ役が赤ちゃんのお人形お世話をしながら)

 

☆「今日はパパ特製の野菜なしやきそばだぞ!」 (パパ役が子ども役を呼んでキッチンに立って)

 

 

こんな個性的で楽しいパパ、ママがいる家庭が園のあっちこっちにあって、もちろん家族ぐるみの付き合いがあったり、近所づきあいがあったり、街のお店屋さんがあったり・・・小さいけれど立派な社会です。

 

子ども役やの子どもたちも多彩で「ごっこ遊び」の中に幼稚園や小学校などもできてきて、必要な役は無限に広がります。夏休みやお正月近くになると遠い田舎の祖父母役やいとこなどレアな役も出てきます。

 

☆「宿題教えてあげるから持っておいで。」 (いとこ役が年下の子ども役に)

 

☆「子どもらでお祭り行くぞー」 (年長のいとこ役が子ども役をみんな引き連れて)

 

☆「あら、去年の夏より背が伸びたわね。」 (遠方に住む祖父母役が嬉しそうに)

 

☆「こら、お行儀よくしなさい!」 (祖父母にちょっぴりお説教・・・)

 

☆「これはじーちゃんからのお小遣いだよ。本でも買いなさいな。」 (祖父役が孫役に)

 

 

子どもたちは生まれてほんの数年ですが、毎日の生活、時折ある貴重な体験を通して、家族の在り方、家族の中での役割、ふさわしいふるまい方などを見て、聴いて、感じて、学んで行っているのですね。

 

社会の中では「お母さんが担うことが多い役割」お父さんが担うことが多い役割」というのがある程度決まっているかもしれません。

そうしたある程度決まっている役割も時代や文化、地域によってそれらは微妙に違うでしょうし、月日を経る中で変化していくものでもあるでしょう。

 

さらにそれぞれのご両親それぞれの得意、不得意もあるでしょうから、どちらかひとりへの負担が極端に重くならないように柔軟に「家族の役割」を見出していくのが「家族の一員としての成長」「家族としての成熟」につながるのかもしれません。

 

「女らしく」「男らしく」「女だから」「男だから」「母親だけの仕事」「父親だけの役割」という画一的な線引きから、一歩進んで「得手不得手を尊重した分担」「生活スタイルに応じた家族の中での心地よい分担」というように、その都度築いていけるのが必要なのかもしれませんね。

 

家族で集う機会が多い夏休みのこの時期をきっかけに、子どもたちに伝えていきたい「父性」「母性」家族の在り方」について考えていきたいと思っています。

28
5月

子育て日記①

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  親の役割ってなんだろう? 

 

わたしは、難聴児の療育をしていますが、1歳の娘(1歳児)と4歳の息子(4歳児…年中)の母親でもあります。

 

4月から幼稚園生活が始まった親御さんの多くがかかえる悩みが「お友達との関わり」ですが、わたしも例外ではありませんでした。そこで、今回は、わたしの「子育て奮闘記」の一部をご紹介します。

 

現在、4歳5か月になる息子は1歳児から保育園生活を始めましたが、2歳児になって、他の子どもたちがお友達同士で少しずつ関わりを見せるようになっても、お迎えに行くと、大体一人でポツンと絵本を読んでいるか、パズルをしているか…。「性格もあるのだろうな」と思いながらも親としては何とも歯がゆい思いをしたものです。わたしは、親として模索しながら以下のようなことを試みました。

 

【お友達と一緒に帰る機会を作る】

当時、わたしは、研究生活をしていたため、お迎え時間が早かったので、他のフルタイムで働く親御さんと出会う機会があまりありませんでした。ただ、ちょうど同じ時間にお母さんが育休中で早帰りのお友達がいたので、極力その子の迎え時間に合わせる努力をしました。

するとお互いに「一緒に帰ろう!」が始まりました。何をするわけでもなく、親同士はおしゃべりをしながら歩き、子供たちは追いかけっこをしながら、一緒に帰れるところまで行き、バイバーイ、また明日ね」とお別れする、という繰り返しなのですが、こんなことが、きっかけになってお友達とのかかわりが増えていきました。

 

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さて、年少さんにもなると、さらにお友達との関わりが広がります。この頃には、息子なりにお友達と関われるようになりました。それでも、まだまだ何だか空回りしている、わが子…。そんな時に、息子が周囲に認められるものができました。息子は歩き始めも1歳6か月でしたし、バランスもけして良くはなく、どちらかというと運動音痴です。本当に不器用で製作・お絵かきはため息がでるほど苦手で、なかなか園活動の中で「○君ってすごいね」と認められるものがありませんでした。静かでおとなしい子のイメージが強かったようです。

 

【得意なことを作る】

息子がおそらく他のお子さんよりも知識があったのが、「英語」。これを聞くと『どれだけ教育ママなんだ?』と思われてしまうかもしれませんが、もともと英語の歌が大好きでどっぷりはまっていき、歌の中で自然に獲得していきました。

息子の通っている園ではなんと、「英語」の時間があり、そこで息子は自信をもって発言することができ、皆の注目を浴び、自信をつけ、積極的な関わりをするようになっていきました。

得意なものは何でもいいのです。自分1人で折れる折り紙がある」「ブロックが得意」「絵が上手」「ごっこ遊びが得意」すべての得意なことはお友達に認められ、関わりを広げるものです。私自身は、まさか「英語」がそのきっかけになるとも思っていなかったので、家庭ではよくブロック遊びを一緒にしていました。その甲斐もあってか、お友達とブロック遊びで「戦いごっこをしていた」と報告をよく受けるようになったので、正直、グッズのおねだりに抵抗があり躊躇していたのですが、あえて「戦隊シリーズ」を見せたりしました「同じ話題を共有する」これも子どもの世界では大切なことです。

 

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さて、年少さんの終わりから年中さんの頭にかけて、息子は大好きなお友達ができました。

 

【親も積極的に!】

保護者会などで、その子のお母さまとお話しをし、家に遊びにいく約束をしました。

そのお友達は、人気者で園では息子には、どうも手の届かない憧れの存在のようでしたが、プライベートで遊んだことでグッと距離が縮まったようでした。先生方やお友達には、遊びに行く一週間前くらいからずーっと二人で自慢をしていたようです。

わたしは、すでに息子が1歳児のときに「保護者会役員」を引き受けていたので、御断りをすればおそらく免れたのですが、その子のお母さまが、今年の役員になったので、娘のクラスの方で「役員」を引き受けました。結局そのお母さまが「保護者会会長」、わたしが「副会長」となり、日曜日に月1程度ある役員会では、息子とその子が役員会のかたわらで遊ぶ姿をほほえましく見守っています。会長・副会長で話し合うことも必要で、園帰りに一緒に外食したこともありますが、その時も息子のテンションは最高潮でした。

 

わたしの子どもたちは、難聴児ではありません。しかし、こと「子育て」となると、私も親として、日々悩み、模索しながら、それでも子どもたちの健やかな成長を願い奮闘しています。

もちろん、子どもには子どもの世界があります。しかし、親のちょっとした周囲との関わりが、「きっかけ」になったりもするのです。

今後も「なないろ教室」では、皆さまのお子さんの「言葉」だけではなく、「子育て」を見守り、ともに母として悩み、支えていきたいと思っています。

                    

15
3月

熟すまでの見守りと支え

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先日、バスの中でこのような光景を見ました。

お父さんとお母さん、そして二歳くらいの男の子がバスに乗っていました。

男の子はバスが大好きなようで、窓から見える風景を楽しみながら、車内放送もよく聴いていて、バス停を案内する放送や、運転手さんの言葉をまねて楽しそうにお話をしていました。

 

「次、止まります」と放送が流れました。

男の子は待ってました!とばかりに、背筋をぴんと伸ばして「ちゅぎ、とんります!」と運転士さんのまねっこ。エッヘンと胸を張っています。

 

それを聴いてお父さんが言いました。ちゅぎ、じゃないぞ。つぎ、だぞ。きちんと言わないとわからないぞ。」

 

お父さんは決してがみがみといった口調ではありませんでしたが、言い直しを求められたことでバスの運転手さん気分の男の子はちょっぴりしょんぼり顔。

 

「それに、とんります、じゃないぞ。とまります、だぞ。正しく言わないとわからないぞ。」と続くお父さんの言葉に、ますますしょんぼり・・・気持ちよく乗っていた男の子としては、運転手さん気分がしぼんでしまったのでしょう。

「ぼくのお話ってわかってもらえないのかな・・・」なんて自信をなくしかけたかもしれません。

 

すると、お母さんがやさしい声で言いました。

「つぎ、とまりますって言ったのよね。ママはよーくわかったよ。パパもね、わかるよね。もう一回ママと一緒に運転手さんに変身だー。せーの。つぎ、とまりまーす。ね、わかったでしょ、パパ。」

 

お母さんの助け舟に男の子は気分を取り直し、お母さんと一緒に「つぎ、とまりまーす」を明るい声で言うことができました。

ママと一緒だから、安心、安心。それに、ママはわかってくれたんだという安心感は頑張る気持ちにつながったようでした。

「うん、もう一回言ってみる!」と男の子はしょんぼり顔からキラキラと輝く表情に変わりました。

 

お母さんから届いた「パパもわかるよね。」の言葉からすぐにピンときたお父さんは、男の子の言い直しを聴いて、「オッケー、オッケー。よくわかったぞ。上手だな。運転士さんみたいだったぞ!」と男の子の言葉と気持ちをしっかり受け止めました。

それに、さっきは小さい声だったからよく聞こえなかったのかな~。ごめんよ。」さらにさり気なくさっきのやりとりを謝る素敵なおまけつきでした。

このあとも「つぎ、とまりまーす。」と男の子のかわいい車内放送は続きました。

 

この男の子のお母さんは大切なことをさり気なくしています。

 

★しょんぼりしたわが子に「大丈夫。ママはわかったよ。お話ししたことはちゃんとわかるよ。パパは怒っているのではないよ。」とさり気なく、でもしっかりと安心させる。

 

★リラックスして言い直しができるように一緒にお話をする場面を設定する。決して発音だけに注目したり、単語のいい直しを求めたりするのではなく、運転士さんのセリフ全体をいい直すきっかけを作る。

 

★熱心なあまりにわが子への訂正を求めたお父さんにさり気なく受け止めてほしいとメッセージを送る。

そしてお父さんもわが子に沿った対応をしています。

 

★お母さんからのメッセージを正しく受け取り、わが子の段階や気持ちに沿った言葉を伝え、きちんとほめている。

 

★必要に応じて、その時のやりとりをおだやかに振り返り、素直に謝る。

 

 

言葉は使いながら上手になるものです。使わなければ上達しないのです。

私たち大人は、子どもたちが安心して言葉を使い、それぞれのペースで上達していける正しい環境を作ることが大切な役目なのです。

覚えたて、使い始めの頃は発音もはっきりしないでしょうし、言い間違いもあるでしょう。

使い始めたばかりの言葉は未完成なのです。

それでも好きな言葉だから、興味のある言葉だから使うのです。自分の周りにいる大人のように上手に言えるようになりたくて、言葉を使うのです。

そして、その未完成な言葉も温かく受け止め、受け入れ、わかってくれる大人がいるからこそ何回も何回も使い、それがいつの間にか繰り返しの言葉の練習となり、自分の言葉として身についていくのです。

 

小さい子どもは、口も舌も呼吸をする器官も聴きとる耳の機能も話す言葉も未熟で、未完成です。

思うように口が動かなかったり、舌が回らなかったり、話しながらの呼吸がスムーズにいかなかったり、聴き逃したりすることがあっても当然なのです。

でも、気持ちがこもっています。伝えたい思いが詰まっています。伝わったときの喜びをしっかりと覚えています。だからこそ、数えきれないほどの言葉を覚えていけるのであり、伝えていく気持ちを育てていけるのです。

 

それぞれの子どもの言葉と気持ちが熟し、完成していく長い道のりを大人は支え続けていく必要があるのだとあらためて感じられたバスの中のひとときでした。

10
2月

文字の読み書き②

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 ~大人への憧れから育つ~ 

子どもの頃、大人のすることすべてがおもしろそうで、魅力的で、真似をしたいと思っていました。母親の料理や化粧、父親の髭剃りやネクタイなどチャンスがあればやってみたいと目を輝かせて見ていた記憶があります。

「何を使うんだろう」「どうやってやるんだろう」「次は何をするんだろう」・・・大人のしぐさ、手順、道具などすべてがキラキラと輝いて見えたものです。

これは大人への「憧れ」です。「あんなことやってみたい」「あんなふうになりたい「あれを使ってみたい」」という憧れの気持ち」は「観察する力」「工夫する力」「挑戦する気持ち」「できるまで頑張る気持ち」などの原動力です。

今回のコラムのテーマの「文字の読み書きへの憧れ」の例をいくつかあげてみます。

★新しいクレヨンの一本一本に名前を書いてくれるお母さんを見て、「うわぁ、自分お名前がいっぱいで、嬉しい!!私も書いてみたいな。」

★書類にかっこよくサインしているお父さんを見て、「縦とか横とかいろいろな書き方があっておもしろい!!まねっこしてみよう。」

★漢字練習をしているお兄ちゃん「小さい四角の中にたくさん書いてて、すごい!学校のお勉強っていいな。早く小学生になりたい。」

★お友だちに手紙を書いているお姉ちゃん「きれいな色ペンがいっぱい!!お友だちと交換してていいなー。私にも色ペン、かして!」

★川柳を筆で書いているおじいちゃん見て、「すらすら、くねくね書いてる!!やってみたいな。おじいちゃん、教えて!」

★絵手紙を描いているおばあちゃんを見て「絵も字も書けるなんて、すごすぎる!!ちゃんと言うこと聞くから教えて!!」

★出席簿を見ながら出欠をとっている保育園の先生を見て「お名前を呼んだり、お返事したら〇って書いたり、いろいろやってすごい!!よーし、先生ごっこするぞ!!」

どのお子さんも「大人への憧れ」から自然と「文字の世界への興味」を持っています。自分から持った興味はたくましく、新しいことをどんどんと吸収していきます。「無理やり」や「押し付け」「いやいや」は気持ちも頭も縮こまって「覚える」ときのブレーキになりがちです。「自分から、楽しみながら」という姿こそが学びには欠かせないのです。

今回のコラムのテーマ「文字の読み書き」「大人への憧れ」が「知る、興味を持つ、覚える」ということから学びが始まります。大人への憧れから文字への興味を持ち、自然と読んだり書いたりするまねごとが始まります。

お子さん本人は大人になりきって、すまし顔で大人のまねをします。絵本を読んでくれるお母さんのまねっこ、新聞を読んでいるお父さんのまねっこ、教科書の音読の宿題をする兄弟のまねっこ、ニュースを読むアナウンサーのまねっこなど・・・「文字を読む」という姿を見て、あこがれ、「絵とは異なる文字」という存在を知るのです。

それからだんだんと文字の一つ一つに読み方が決まっていることに気が付きます。きっかけは自分の名前のことが多いようです。見慣れ、聴きなれている名前の並びがいつも同じ「文字」であることから読み方を少しずつ知るのでしょう。もしかしたら「読む」というよりも「みつける」「発見する」という感じなのかもしれません。絵本を眺めていたら「“あ”みーつけた!」、スーパーのみかん売り場で「“み”があった!」などまるで宝物を発見するようなワクワク感で世界を広げていくのでしょう。

                                                      

そして「憧れの気持ち」がさらに高まり、「文字らしきもの」を書き連ねだします。大人から見ると、ただの〇が並んでいるだけに見えたり、ミミズの行進のように見えたり、鏡文字だったり、文字とは言いにくいものなのですがこれが文字書きの第一歩。夢中になっていくつもいくつも書く経験を積むことで、筆具の持ち方が上手になったり、筆圧が安定したりします。何事も「あんなふうに書いてみたい」という憧れが興味関心を育て、自分から楽しく繰り返し練習し、上達していきます。

「読み方の決まり」に沿って「文字を読む」ことを身につけていくのと同じように、書き方の決まり」に沿って「文字を書く」ことへ高まっていきます。「どうやって書くのか知りたい気持ち」=「知識欲」が芽生え、ぐんぐんと育っていきます。

そうすると「文字らしきもの」を自由に、思う存分、とにかくたくさん書く段階から「それらしく」「本物みたいに」書きたくなります。「〇ってどうやって書くの?」とお子さんがきいてきたら、一緒に書いたり、なぞれるように薄く下書きをかいたりしてあげましょう。

もしかしたら形や書き方がシンプルな「し」「い」などよりも「お」「む」「ね」など入り組んだ文字を書きたがるかもしれません。わくわくが大好きな子どもにとっては、なんだか迷路みたいにくねくねした文字に魅力を感じて、やってみたくなるのでしょう。

この時、書き順が正しくなくても、文字の大きさ不揃いでもお小言はぐっと飲み込み、興味を持っていることをとにかくたくさん誉めることが大切です。「文字のことを聞くと、がみがみ言われてめんどくさいなー」「上手に書けないと叱られちゃうからいやだなー」という気持ちが大きくなってしまうと、意欲も知識欲もしぼんでしまい、「知ること、学ぶこと」=「学習全般」が嫌いになってしまう可能性があります。一度なってしまった「学習嫌い」をとり返すのは至難の業です。順調に芽生えた「文字への興味」を摘み取ってしまわないように、初めの段階では気持ちよく、一緒に読んだり書いたりすることを楽しみ、誉め、リラックスして繰り返せる場を大切にしましょう。

「文字の読み書き」を通して「字っておもしろいね」「書けるようになるとかっこいいね」「ママもパパも小さいときにおばあちゃんに教えてもらったよ」など楽しい時間を過ごしてください。

10
2月

文字の読み書き①

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     ~育ちの順番~    

子どもの育ちには規則性、法則性があると言われています。たとえば、赤ちゃんの体の育ちで言うと「首が座る」→「お座りをする」→「ハイハイをする」→「つかまり立ちをする」→「伝い歩きをする」→「歩く」というようなおおまかな順番で発達していきます。

ある程度の法則性はあっても、全くおんなじというわけではありません。お子さんそれぞれの育ちがあります。後ろに進むハイハイの時期が長いお子さん、右方向への伝い歩きが得意なお子さん、つかまり立ちをしたと思ったら、そのまま足が出て歩き始めたお子さん、慎重に慎重に歩き始めるお子さん、誰も見ていないところで立ったり座ったりを繰り返して楽しんでいるお子さん・・・本当にそれぞれのペースで経験し、身につけていくのです。

生まれてから「初めてづくし」の毎日の中で、「あたたかく見守り」できたことを心の底から喜び」何よりも誰よりも愛してくれる」親御さんの存在があるからこそ、赤ちゃんは安心して育ちの階段を上っていけるのです。

「じょうずだね」「がんばってえらいね」「よくできたね。もう1回やってみて」「ママ、うれしいな」・・・などお子さんがやったこと、できたこと、がんばったことを親御さんがその場で認め、誉めてくれることがお子さんのやる気根気挑戦する気持ちを育てていくのです。

食事、お風呂、排せつ、着替えなどの生活習慣も遊びもすべて同じです。

「ピーマン、お口に入れてえらいね。」「お目めつむってシャンプーがんばったね」「おしっこ出たの教えてくれてありがとう」「ズボン、一人ではけたの嬉しいね」「積み木、たかいたかーいって積めたね。すごいね。」などその場で、タイムリーに、温かく認めてくれる言葉を浴びているお子さんは、自然と自信をつけ、初めてのこと、新しいことに取り組むことを楽しめるようになっていくのです。

                     

ついつい「しっかり」「上手に」「早く」「覚えるまで」という気持ちが先に立ってしまいがちで、親御さんもお子さんも純粋に楽しむのが少し難しくなってしまいがちなことの一つが「文字の読み書き」です。

お子さんの成長に伴って、経験が必要になってくる「文字の出合と習得」は、小学校から先のお勉強につながっていくイメージが強くなるからかもしれません。「上手か下手か」「できたかできないか」「覚えたか覚えていないか」「早いか遅いか」・・・といったこれまでの「それぞれのお子さんの育ちを喜ぶ」という関わりが、知らず知らずのうちに「もうできた」「まだできない」「成績の良し悪し」といった画一的な評価が強まったり、比較することに傾きがちになったりするからかもしれません。

特に「文字の読み書き」は大人からすると難なくできることなので、子どもの「できなさ」「わからなさ」を歯がゆく感じやすく、「なんでできないのか」「まだ覚えてないこと」や「できていなこと」に目が行きがちですが、誰もが時間をかけて身につけていくものです。間違えながら正しく覚えていものです。大人に見守ってもらいながら少しずつ一人でできるようになっていくものです。

まずはお子さんの「興味を持って学ぼうとしている姿」を認め、誉め、「文字の読み書き」に出合ったばかりの面白さや不思議さを共有しましょう。「小さいころ、自分もこうだったな。」「こんなふうにして覚えたんだった!」など懐かしく思い返すことが、お子さんに寄り添うことにもつながります。

                                                                        

もしも繰り返し「できない、わからない」という状態に出合ったら、少し立ち止まって振り返ってみましょう。お子さんは楽しそうか」「いやがっていないか」「本当に興味を持っていることは何か」とお子さんの姿や表情を思いやることは、なんでもないことのようですが、健やかな成長・発達を支える基本であり、大切なことです。

親子で文字に触れているときにお子さんに笑顔が少なかったり、少しいやそうな表情になったりしているとしたら、少し時期が早のかもしれません。お子さんの興味に沿っていないのかもしれません。素材に飽きているのかもしれません。なかなか覚えられなくて親御さんの期待に沿えない自分を悲しく思っているのかもしれません。

文字を早く覚えさせようとして肩に力が入っていたり、楽しめていないご自身の様子に思い当ったりしたら、一生懸命さが空回りしてしまっているかもしれません。

こうしたことに気づくことができたのであれば、大丈夫です。文字の読み書き」を少しみする時期を作ってみるのも有効です。またちゃんと興味を持って「読んだり書いたり」を楽しむようになるはずです。これは「後戻り」はありません。少し「休憩」するだけですから、時期が来ればまたしっかりと親子で楽しく学べるようになります。

遊びの力や生活習慣など年齢や段階に応じて親御さんのお世話を受けながら、一つ一つ身につけていったのと同じように、文字の読み書き」「ふさわしい時期」「大人の温かい見守りと手助け」を受け、「大人と一緒に楽しく経験する」ことが欠かせないということを今一度心に留めておくと良いでしょう。